「1人 1,000円」という、格安の旅行。
オカルト研究部の合宿先に選ばれたのは、ノロワレ島でした。
「交通費が入って、それは……。怖いな?」
案の定と言うべきか、島に到着した途端に、人の姿で、言葉を喋る化け物に、襲われる一行……。
主人公の月島瑞葉たちは、普通の高校生、あるいは、教師として、ただ逃げ惑うのみ。
果たして、彼らは無事なままで、孤島から生還できるのか!?
それとも、ノロワレ島 ~ 噛まれたらもうおしまい ~と、なってしまう?
作品の概要
「Hige to deko」様による、群像劇の3作目です。
今回は、主人公たちに対魔師がおらず、「全員が素人のまま、化け物に立ち向かう」という状況。
オカルト研究部は孤島へ行く
定期的に人の血を啜ることで、ようやく生きられる、鬼たち。
元住人のグループは、おびき寄せた月島瑞葉の一行を襲い、瞬く間に、捕らえます。
ひょんなことから、牢屋から脱出できたが、ここは、逃げ場のない孤島……。
ノロワレ島を舞台に、「鬼になったグループ」と、各地で立て籠もった集落が、生存競争。
いきなり巻き込まれた瑞葉も、自らの無力さを実感しつつ、立て直しを図ります。
観光客の学生だろうが、「戦わなければ、噛まれて、鬼の仲間入り」というだけ。
オープニングで、他のオカルト研究部の面々とはぐれた瑞葉は、実に半年の修業を経て、友人たちと会いに行くのです。
「噛まれたら終わり」の緊張感
「選択肢を間違えたら、BADエンドに直行」
『ノロワレ島 ~ 噛まれたらもうおしまい ~』でも健在で、同じ位置にある選択肢が、常に正解。
仲間を見捨てず、裏切らなければ、だいたい、OKです。
「セーブ推奨」の場面になったら、忘れずにセーブを!
ゾンビ物のように、敵の攻撃を受けるだけで、感染する状況。
この緊張感は、過去作にはない、スリリングさ。
肉欲レベルを全く上げなければ、処女クリアも可能!
対人のセクハラはともかく、「鬼に隙を見せれば、そこからズルズルと、BADエンドへ」という感じ。
少しの油断で段階墜ちに♪
『ノロワレ島 ~ 噛まれたらもうおしまい ~』は、異世界ではなく、現代社会です。
敵は、住人としての知能と記憶が残っていて、人の血を欲する鬼とあって、過去作とは違う雰囲気。
兵頭サラのように、素手で強いヒロインも、います。
ただし、前述したように、彼女たちは鬼に勝てるものの、素人です。
「可哀想」という心理を突かれて、あっさりと、催眠にかかる。
逃げ場のない集落の中で、ひたすらに、調教される。
女体としてのアクメを覚えさせられ、快楽に溺れる。
中毒にさせられ、自ら懇願して、セックスする。
鬼の特殊スキル、あるいは、集落の男たちの劣情による裏切り。
最初は、小さなセクハラ、行動ですが、極限状況でいったん始まれば、もう止まりません。
「男キャラに、視点を変える」などの俯瞰によって、彼女たちの痴態をたっぷりと、下の股間から湧き出る、最後の一滴まで、堪能しましょう。
ヴァイゼの感想
本物の群像劇を味わえる、『ノロワレ島 ~ 噛まれたらもうおしまい ~』。
異世界へ放り込まないため、「現代社会の物語」として、シリアスになった印象です。
孤島で行われる「集団サバイバル」
『キリエの異界漂流記』では、問答無用で異世界へ転移させられ、防衛戦の連続。
誰もが正気を失って、当然!
次作の『異世界通信』から、「異世界と、今の場所を行き来する」の概念が、登場。
「選択肢を間違えた後には、濃厚なHイベントによる調教と、メス奴隷になったヒロインの痴態や乱交だらけで終わり」と、なりました。
今回は、ヒロイン達も、普通の人。
脱出から半年後になる展開で驚きましたが、キャラが多いわりに、混乱しません。
月島瑞葉や、他のヒロインだけではなく、時には、男キャラを操作する。
まさに、群像劇の面白さを体現した、同人エロゲーです。
人は環境と経験で塗り替えられる
洗脳は、知らず知らずのうちに、受けています。
それは、生まれ育った家庭。
もしくは、通っている学校で。
就職したら、新人教育として、洗礼を受けるでしょう。
そのどれもが、実施する人間に都合が良い内容、つまり、価値観の刷り込みに、他なりません。
たとえば、『忍堕とし』の内容も、まさに、それ!
力が強い鬼に殺されないため、若い女に、「男を気持ち良くさせるフェラ」を教えることも。
『ノロワレ島 ~ 噛まれたらもうおしまい ~』で生き延びるためには、それが知恵の1つ。
前作と同じく「BADエンド」に注意!
前述しましたが、セーブデータの扱いには、細心の注意を払ってください!
なぜなら、一度BADエンドへ向かい出したら、止められないので。
他の同人エロゲのように、「戦闘に負けるか、選択肢のミスで、即座にゲームオーバー」とならず、しばらく物語が続きます。
「あれ? こういうルートも、あるんだ?」と勘違いしやすいから、要注意。
その代わりに、段階Hとして、クールビューティから、アヘ顔の淫乱まで、どんどん洗脳されていく流れ。
最初は、人質をとるか、逃げられない状況での強要。
あるいは、無知に付け込んだ、トラップ。
各キャラが立っているため、群像劇の小説を読んでいるかのように、先が気になる展開です。
綺麗事が全くない性交渉
まともに戦えば、後れを取らないヒロイン。
けれど、集落でモンモンとしている男たちや、搦め手を使う鬼たちは、健気に頑張っている彼女たちを毒牙にかけるのです。
ノロワレ島では、鬼に噛まれたら、おしまい。
その恐怖は想像を絶するもので、強いストレスを解消するためには、若い女とのHが一番♪
他に娯楽がない、現代社会でありながら、中世のような暮らし。
若い女が貴重だから、好き嫌いは別にして、男の相手をせざるを得ません。
ねっとりと描かれる、鬼のスキルで狂わされていき、集落の男に調教されるヒロイン達。
最後には、「鬼に抵抗する」「集落の男たちに逆らう」という意志すら、砕かれるだけ……。
生々しい群像劇としての心理描写
男キャラにも、顔グラ。
相互扶助で生き延びる一員として、それぞれに自分の役割を果たしながらも、美しいヒロイン達に欲情。
性欲を発散させるため、集落の防衛で活躍しているヒロインを犯し、催眠などで意志を蕩かす。
それは、まさに、破滅へのプレリュード。
これほど、リアルに群像劇を描いたシリーズは、他にありません。
ただ監禁するのではなく、自分の意志で、男に奉仕することを選び、依存する。
調教を交えた洗脳の恐怖は、それが異常状態ではなく、正常にすり替わる点。
自分が欲しい女を手に入れるため、敵の誘惑に応じる男。
道徳心を逆手に取られ、有利な立場のはずが、操られる女。
捕らえられ、全てを洗い流す快楽で、洪水のように押し流される女。
ここに、記号化されたキャラは、1人もいません。
全員が生きていて、欲望を持ちながら、必死に生き延びているのです。