クトゥルフ姦話は、クトゥルフ神話による、触手モノです。
ただ、「本物のクトゥルフ神話」としては、『腐界に眠る王女のアバドーン』を挙げられます。
決して、『クトゥルフ姦話』を否定するわけでは、ありませんが。
正しい知識を学べば、それだけ、充実したクトゥルフ生活に!
スウィートホームが叩き台
『腐界に眠る王女のアバドーン』は、クトゥルフ神話をモチーフにしながらも、最小限のキーワードだけ。
他の作品が「魔術書の名前などを出すだけ」の状況で、「世界観とストーリーで、クトゥルフ神話を表現した」という傑作です。
ゲームシステムは、『スウィートホーム』に、酷似しています。
とはいえ、全体の枠が似ているだけで、よりシビア。
エログロを出せる、18禁だけあって、本当に容赦なし。
元ネタは、「曰くつきの洋館を訪れた、撮影スタッフ一行」でしたが、こちらは「高校生の友人グループと、考古学の研究室にいる大学生たち」です。
世間一般では、仲が良いほうですが。
命を脅かされる状況に置かれ、その本性が剥き出しに……。
最高のクトゥルフ神話
『腐界に眠る王女のアバドーン』は、人が敵わぬ存在から逃げ惑い、虚しく足掻き続けます。
では、本家本元のクトゥルフ神話とは?
恐怖値はSAN値ではない
『腐界に眠る王女のアバドーン』では、キャラの体力を示すのが、恐怖値。
これは、SAN値ではなく、全く違うもの。
どうやら、「クトゥルフ神話TRPGではなく、ラヴクラフトを尊重した結果」だそうで……。
ゲームシステムとしては、「恐怖値で、体力と正気度のどちらも示す」という内容。
これ、別々に管理しないことで、とても分かりやすく、なおかつ、刺激的です。
狂気をシステムに落とし込んだ、もっと評価されて良いゲーム。
ラヴクラフトからの神話体系
生みの親である、ハワード・フィリップス・ラヴクラフト。
彼は、アメリカの小説家で、コズミック・ホラーを執筆していたものの、無名のまま病没。
死後に、友人たちが作品集を出版したことで、カルト的な人気を得ました。
彼の作品が評価されなかった理由は、パルプ・マガジンという、低品質の紙を使った、大衆紙に掲載されていたから。
死や破滅をテーマにしたことから、そういった媒体だけ。
「おぞましい化け物や、それらが崇拝する邪神どもが、世界に隠れている」
このクトゥルフ神話は、超常現象や神智学とも言える、魔術書などのアイテムと一緒に、「1つの壁を超えた」と言っても、過言ではありません。
その結果、「現代に至るまで、その世界観を執筆する人々がいる」という、一大ムーブメントに!
今では、SCP財団のような、ネット上での増殖があるものの、当時は文通。
怪奇作家の代表であるラヴクラフトは、貧乏なままで、結婚生活も破綻した、不幸な人生でした。
けれども、その鬱憤を全て創作にぶつけて、ファンとの文通に時間を費やし、彼の死後も受け継がれたのです。
魔術書ネクロノミカン
さて、このラヴクラフトは、独特な雰囲気です。
残っている写真では、理知的な風貌だが、いかにも気難しそう。
そのラヴクラフト(本人ではない)が出てくる映画、「ネクロノミカン」は、クトゥルフ神話を知るために、オススメ!
1993年に公開された、アメリカの、オムニバスホラー映画です。
短編が4つほど収録されており、「死者の蘇生」といった、禁忌が描かれています。
基本的に、グロ描写で、バッドエンド。
内容としては古典的で、他の作品でも見られるネタばかり。
しかし、「あのラヴクラフトが、本物のネクロノミカンを読むことで、小説の構想をしていた」という設定は、ファンにとって、最高のアートです。
アバドーンはまさにクトゥルフ
『腐界に眠る王女のアバドーン』は、どのキャラも、苦しみ、狂気に囚われた末に……。
プレイヤーの行動で、多少の回避が可能であるものの、焼け石に水。
発狂した後で破滅する
前述したように、シンプルな管理。
女キャラのほうが弱く、苦手とする属性も多めです。
「主人公が他の庇いつつ、キレた人物に攻撃させて、敵を倒していく」
見るだけで恐ろしい化け物たちと戦いつつ、彼らは傷つき、正気を失い、死と破滅に向かいます。
まさに、ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが描いた、元祖クトゥルフ!
魔術書の名前は出てきますが、それ以外は、専門用語を省いた世界。
逆のパターンが多いだけに、じっくりと味わいましょう。
汚く、廃墟となった洋館で、分断されたパーティーが、2つ。
先が見えない恐怖に、乏しいアイテム。
遭遇する、勝つことも考えられない、絶対的な化け物との鬼ごっこ……。
神話生物に敵うわけがない
昨今では、「銃火器や、鍛え抜いた蹴り一発で、倒す」という描写が、増えました。
けれど、クトゥルフ神話とは、「人が抗えない神話生物と出会い、己の無力さを思い知る」という話です。
雑魚は、何とか倒せるものの、数が多い。
倒しても、倒しても、ウジのように湧き続け、1人、また1人と、仲間が力尽きていく。
絶望した仲間が、1人で、どこかへ走り去る。
または、休憩している小部屋において、もう1人を襲い出す。
ここにあるのは、狂気と、穢れ。
抜き目的では、『腐界に眠る王女のアバドーン』は、肩透かし。
けれども、「他にはない絶望や、生々しい狂気を見たい」という方には、この上なく、ぴったり♪
全員で、日常へ戻る?
腐海に入り込んだ人間に許されるのは、せいぜい、1人か、2人の生還です。
半ば、発狂した状態で……。
それが、クトゥルフ!
SAN値ゼロの魔術師は怖い
『腐界に眠る王女のアバドーン』には、本物の魔術師も!
ネタバレを避けるため、これ以上は述べません。
でも、周回プレイを繰り返せば、真相まで辿り着けます。
SAN値ゼロの魔術師は、話ができても、人としての情は、期待できず。
全ては、真理のため。
あるいは、たいした理由もなく、人を破滅させ、ゲームのように弄びます。
外なる神を召喚して、その力を借り、呪文や儀式による、超常的な魔術。
物理攻撃が通用しない、不老不死などで、その精神は、神話生物と同じです。
クトゥルフ神話を体験
ここでは、エログロを省いた、クトゥルフ神話。
それを遊べる、一般向けの同人ゲームをご紹介します!
一般ゲーでクトゥルフを疑似体験
ノリとしては、『金田一の事件簿』ですね。
その犯人が、邪神の教団や、その眷属、あるいは、邪神の本体というだけで……。
はい。
無理ゲーです。
それだけでは、「ふざけるな!?」と叫ばれるため、ちゃんと攻略方法もあります。
ゲームキーパーがいるTRPGでは、「今回の推奨スキルと、方針は~」と、事前に説明することが一般的。
RPG形式で、エンカウントした雑魚は倒せるものの、無敵の化け物に追われつつ、アイテムや情報を集めていくのです。
超常的な魔術、神話生物による事件で、警察は役に立たず。
あるいは、外部から応援に来られない場所、たとえば、離島や、山奥が、主な舞台。
プレイヤーが気づくことで突破口
ゲームでは、「たまたま、その場に集まっていた面々から選び、パーティーを組む」という流れ。
『腐界に眠る王女のアバドーン』のように、プレイヤーが選ばなかったほうは、何らかの理由で、いったん視界の外へ。
では、そろそろ、オススメの一般ゲーをご紹介!
この3つに限っては、全て一般向けで、18禁ではありません。
くれぐれも、ご注意ください!
クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女
『腐界に眠る王女のアバドーン』と同じ、館の探索。
あなたは、同行する仲間を選び、好きなように破滅できます。
もしくは、奮闘の果てに、生還か……。
クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説
行方不明になった妹を探して、あなたは、「雨降り村の天女伝説」がある村へ。
山奥の村に残る伝説と、蠢く化け物たち。
果たして、この謎を解いて、無事に妹と再会できるのか!?
クトゥルフ神話RPG 水晶の呼び声
自分から送られてきた、水晶玉。
連続変死事件と相まって、あなたは、探偵事務所へ足を運ぶ。
さあ、狂気に立ち向かえ……。
TRPGのクトゥルフ神話
手軽に体験するためには、TRPGも、オススメです!
これは、数人が集まり、アナログゲームとして、用意したシナリオを進めていくもの。
仲が良い友達と一緒に恐怖体験♪
TRPGとは、テーブルトーク・ロールプレイング・ゲームの略。
平たく言えば、1人用のRPGをパーティーで行う、遊び方です。
ルールブックに基づき、「プレイヤーが宣言した行動について、サイコロの出目を加えて、成否を判断していく」という流れ。
ゲームソフトに該当するのが、ゲームキーパー(以下、KP)という、司会役が必要です。
残りのメンバーは、実際にプレイする立場。
必要であれば、NPCについても、ゲームキーパーが担当します。
『クトゥルフ神話TRPG』は、日本でも人気が高く、大勢が集まって遊ぶ、コンベンションも、長い歴史を誇っています。
ただし、全く知らない人と、即興でゴッコ遊びをするため、友人を集めたほうが、簡単です。
現代社会が舞台だから分かりやすい
『クトゥルフ神話TRPG』は、現代・明治・禁酒法時代のアメリカと、いくつかの時代。
現代を選べば、あなたが暮らしている日々に、神話生物を交ぜるだけ!
他のTRPGと比べて、非常に分かりやすく、個人的に遊ぶだけなら、版権キャラもOK!
学生とすれば、「同じ学校」のように、ラノベと同じ設定にも。
クトゥルフ神話が、「神秘的な存在との邂逅、狂気と死」を扱っているため、基本的にキャラは破滅します。
その中でも、「現れた眷属を避けつつ、邪神の降臨を避ける」といった、目的を達成。
イメージしやすく、シナリオを作りやすい。
そして、楽しいのが、クトゥルフ神話TRPGです。
判定が簡単でシンプルに冒険できる
たとえば、「周囲に異常がないか、音で判断したい!」と宣言すれば、KPは、「では、<聞き耳>で判断してください」と、答えるでしょう。
あなたは、サイコロを振り、今の<聞き耳>スキルより、下の数字になるよう、祈るのです。
クトゥルフ神話TRPGは、その人物のスキルで、下の数字を出すと、成功。
逆に高ければ、失敗です。
ただし、1回失敗したら、死ぬわけではありません。
これは遊びでして、戦場の兵士とは、違うのです。
他にもキャラがいれば、同じく判定をしますし、再チャンスを与えられるでしょう。
あまりに馬鹿な行動、たとえば「街中で銃を撃つ」となったら、警察に逮捕されますが……。
クトゥルフ性の違いで解散
楽しい、クトゥルフ神話TRPG。
けれども、方向性の違いで、上手くいかないことも……。
同じクトゥルフ愛好家でも派閥がある
ざっくり分けると、「神話生物の扱い」ですね。
ここを正しく押さえれば、トラブルなく、遊べるでしょう。
- 格闘スキル、銃スキルで、あっさり倒したい
- 眷属であろうとも、人間が敵う相手ではない
1番目は、「アニメのように、俺ツエーで、無双したい!」
2番目は、「正統派のホラーとして、逃げ惑いたい」
最初に言っておくと、クトゥルフ神話TRPGは、キャラを破滅させていくシステム。
SAN値で分かるように、どんどん、追い詰められます。
だから、本来は、1番目の遊び方には、向いていません!
「絶対にダメだ!」という話でもなく、遊びたければ、そう遊べば、いいのです。
問題になるのは、1番目と2番目が混ざっていて、お互いに歩み寄りがない場合……。
原作は邪神が登場しないホラー
ハワード・フィリップス・ラヴクラフトの作品では、おどろおどろしい表現だけ。
ただし、「邪神の何々だー!」とは、ならず。
今のクトゥルフ神話TRPGぐらいで、ようやく、色々な邪神が登場。
多くの人々によって、神話体系に……。
文学的に、ラヴクラフトの足跡は、大きな価値があります。
と言っても、私たちには、「コズミックホラーで、思いっきり暴れて、楽しみたい!」というだけ。
無理に読む必要はありませんが、アニメから入った後に、ラヴクラフトの短編を1つでも知っておくと、幅が広がります。
ちなみに、タイトルにもある「クトゥルフ」は、邪神として、最強にあらず。
かなり面倒で、そいつの眷属たちや、信者の教団も、厄介ですけど……。
TRPGは登場キャラを乗り換えていく
前述したように、クトゥルフ神話TRPGでは、SAN値が下がりすぎたキャラ、死亡したキャラを捨てて、関連したキャラの誰かで、新たにシートを作ります。
2番目の遊び方というわけですが、最近のアニメや、ラノベに慣れている方には、不評です。
「愛着があるから、このキャラで、最後まで遊びたい!」と言われたら、無碍にできません。
しかし、何度も言いますが、クトゥルフ神話TRPGは、そういうもの。
「どちらの方針でいくのか?」という説明や、「このスキルがあると、楽になる」「今回の神話生物は、倒せない」と言っておけば、トラブル予防になります。
アバドーンは古典的なクトゥルフ神話
『腐界に眠る王女のアバドーン』に話を戻すと、ラヴクラフトの正統派。
Hシーンのためではなく、狂気の産物としての凌辱、あるいは、殺害です。
「お互いに好きだから」「ムラムラしたから」ではなく、「もう助からない」と考えての、本能的な交わり。
お互いに、もしくは、一方だけが快楽を貪り、わずかな体力、時間を浪費するだけ……。
実際に、クトゥルフ神話TRPGを行うのは、ハードルが高いです。
自分で考えたシナリオで、友人と遊べる楽しみもありますが、『腐界に眠る王女のアバドーン』によって、お手軽に世界観を味わってみるのも、吉♪
「捕まったら、死」
「見ただけで、発狂」
「発狂した仲間が、襲いかかってくる」
クトゥルフ神話には、常に破滅と、狂気が、付き纏います。